搭乗者傷害
交通事故に遭ったら、相手方への損害賠償と同じく、ご自身の加入している保険の内容も確認すべきです。その中でも搭乗者傷害保険は重要になります。

そこで今回は、搭乗者傷害保険について解説いたします。

搭乗者損害保険とは

搭乗者損害保険とは、その保険に加入している自動車に乗っている人(搭乗者)が、交通事故により、死亡やケガを負った場合に保険金が支払われる保険のことです

搭乗者というと、運転手以外の人を指すように感じられる方もいらっしゃると思いますが、

搭乗者に運転手が含まれるのはもちろんのこと、助手席や後部座席に座っていた人であれば大人や子供関係なく搭乗者に該当することになります。

また、搭乗者傷害保険は、加害者から損害賠償が支払われた場合でも、それとは関係なく支払われます。

搭乗者傷害保険は、損害賠償のための保険ではないからです。

つまり、加害者は、被害者が搭乗者損害保険から損害の補てんを受けたことをもって、損害賠償を行わないということはできないのです。

被害者の側も、損害賠償を受け取ったから、搭乗者傷害保険の請求をするのは図々しいかしらと思われる必要はありません。

このように、被害者にとってはとても頼もしい保険です。

また、搭乗者傷害保険を使っても、保険の等級は下がりませんからデメリットはありません。

今後の等級や跳ね上がる保険料を気にしてご自分の保険を使うことを躊躇なさる方もおられますが、心配いりませんからぜひ使ってみてください。

判例でも、搭乗者傷害保険を被害者側が受領したことを考慮しても、それ自体が損害の補てんとなっているのではない。つまり保険金額を損害額から差し引くのは妥当ではない。(最高裁平成7年1月30日判決)となっています。

搭乗者傷害保険が支払われない場合

搭乗者傷害保険は、ケガをした被害者にとって頼りになるとても魅力的な保険ですが、どういった場合でも必ず保険金が支払われるわけではありません。

法律には、「正規の乗車装置またはその装置のある室内に搭乗中」の者という限定がなされています。

正規の乗車装置とは、乗車人員が動揺、衝撃等により転落または転倒することなく、安全な乗車を確保できるような構造を備えた場所のことを言います。

つまり、運転席、助手席、後部座席はこれにあたります。反対に荷台は、これにあたらないことになります。

人を荷台に載せて公道を走ることは禁じられていますし、荷台に乗っていて、交通事故でケガをしても搭乗者傷害保険はおりませんから、法律は守らなければなりません。

また搭乗中という要件についても、「極めて異常かつ危険な方法で被保険自動車に搭乗中の者」は、含まれないことになっています。

暴走族がやっているような箱乗りといった危険極まりない乗り方をしていた場合は、保険の保護の対象から外されます。

さらに、免責事由として、運転者が無免許運転や飲酒運転、麻薬等の影響で正常な運転ができない状態で起こした事故から生じたケガについても保険金は下りないことになっています。

つまり、搭乗者傷害保険は、車に乗っている人のケガを幅広くカバーするものであるが、違法な乗り方をしていた人は、補償されないということです。

搭乗者傷害保険の請求について

搭乗者傷害保険は、議自分から積極的に請求しなければ、先回りして保険会社が動いてくれることはありません。

支払いの計算方法にもいくつかあり、保険請求には時効もあります。そこで、せっかくの搭乗者傷害保険を使い損ねることがないように時効等についてみていきましょう。

搭乗者傷害保険の消滅時効

搭乗者傷害保険は、賠償保険と別の保険であり、ケガをした交通事故被害者なら両方受け取ることができます。

ただ、その仕組みが分かりにくいために、みすみす時効にかかって権利を消滅させてしまっている方が多くおられますので注意が必要です。

次に、搭乗者傷害保険の時効の起算点について解説します。

なお、平成22年に関連する法律が改正されましたので、時効期間が延びて被害者保護が図られています。

平成22年4月1日以降に発生した交通事故の場合

死亡保険金―死亡した時から起算して3年で時効にかかります。

後遺障害保険金、重度後遺障害特別保険金など―後遺障害が生じた日、または事故発生の日から180日を経過した日のいずれか早い日の翌日から起算して3年で時効にかかります。

医療保険金―平常の生活もしくは平常の業務に従事することができる程度に治った日または、事故発生の日からその日を含めて180日を経過した日のいずれか早い日の翌日から起算して3年で時効にかかります。

搭乗者傷害保険の支払い方法

搭乗者傷害保険の支払い方法には2つあります。

かかった日数によって計算される方法

これは、入院や通院にかかった日数に1日あたりの保険金額をかけて算出する方法です。

一日あたりの保険金額は、例えば死亡保険金額1000万円で契約していた場合、入院1日 15,000円 通院1日 10,000円が支払われることになります。

保険が支払われる期間については、入院や通院していた期間すべてに対して支払われるのではなく、もっと短い期間に限定されることが多いです。

したがって、保険請求の際に保険会社と見解の相違となることもあり、次に述べる部位症状別払いの方法が主流となっています。

部位症状別に計算される方法

これは、ケガした部位や症状別に保険金額が定まっている方法です。

骨折を例にすると、腕の場合は30万円、足の場合は20万円というように決めたり、打撲の場合は5万円と決めたりしている支払い方法です。

治療に要した期間は考慮されません。

保険料で比較すると部位症状別払いの方が安いのですが、いざ保険金を受け取る段になると、日数払いの方がお得になることが多いでしょう。

搭乗者傷害保険は、被害者にとってとてもお得な保険です。

うっかり請求忘れをすることがないようにしましょう。また、保険金の支払いで保険会社とトラブルになった場合は、まず一度弁護士に相談なさるとよいでしょう。

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