脊髄損傷

交通事故での受傷は思わぬ大けがとなる場合があります。

脊髄損傷は、その中でも重大なけがの一つと言えるでしょう。したがって後遺症がとても心配になるのは、当然のことです。

そこで今回は、脊髄損傷の場合に気を付けるべきことについて解説いたします。

脊髄を損傷するとはどういうことでしょうか

脊髄を損傷すると大きなダメージを受けます。それは日常生活にも深刻な影響を及ぼします。それでは、脊髄とはどのような器官なのでしょうか?

脊髄とは

脊髄とは、簡単に言うと背骨に守られた神経の束ということです。これは、脳からの指令を体の各部分に伝える重要な役目を負っています。

また、同時に体の各部からの信号を脳へ伝える役目も負っています。したがって、脊髄が損傷されると、損傷の部位により、体の各部に様々な麻痺が生じてしまうのです。

一度損傷されると再生が困難

脊髄損傷の重大な点の一つは、再生が困難という点にあります。脳や脊髄といった中枢神経は、末梢神経と異なり一度傷つくと再生は難しいのです。

したがって、どうしても後遺症の問題が出てくるのです。

麻痺について

脊髄を損傷したことで生じる麻痺にはいくつかの種類かあります。

完全麻痺と不全麻痺

これらは、麻痺の状態による分類です。

完全麻痺とは、脊髄が完全に分断されてしまったため、脳からの指令と体の各部からの信号を伝えるという神経伝達機能が完全に断たれてしまった状態です。

不全麻痺とは、脊髄の一部が損傷を受け、一部の機能を残して麻痺がある状態です。割合としては、不全麻痺の方が多くを占めています。

知覚麻痺と運動麻痺

知覚麻痺とは、皮膚感覚が麻痺することです。これが起こると、ケガをしたとしても痛みを感じないので、発見や治療が遅れてしまいます。

例えば、くぎを踏み抜いたとしても痛みを感じないわけですから、とても危険と言えます。また、火傷をしたとしても熱さや痛みを感じませんから重症化する恐れがあります。

脊髄損傷の場合は、入院治療が必要ですから、床ずれの発生には注意しなければなりません。

運動麻痺とは、神経の損傷により、意識的に筋肉を動かすことができなくなることを言います。

運動麻痺になった場合、リハビリが大事

筋肉が麻痺した場合は、それ以上に筋肉が衰えることがないように、リハビリを習慣づけることが大切です。

筋肉は使わないと衰えますし、また、動かさないと関節が固まってしまい、可動域が狭まってしまいます。

そうなってしまうと、スムーズな日常生活を送ることがとても難しくなってくるので、早めのリハビリ開始とリハビリ継続・習慣づけがとても重要となります。

体内部への影響

脊髄が損傷されると内臓といった体内部にも影響が出る場合があります。

体温調節機能障害とは

脊髄損傷では、体温調節機能に障害が出る場合があります。これは、汗をかく機能が低下したり失われることを言います。

人体は、汗をかくことによって、体温を調節していますので、これが失われると場合によっては、生命に危険が及ぶことがあります。

したがって、霧吹きや清拭といった方法でこれを補う必要があります。

自律神経機能障害とは

脊髄損傷では、自律神経も影響を受けます。自律神経とは、交感神経と副交感神経から成り立っています。

交感神経とは、活動するときに優位になる神経であり、副交感神経は休息するときに優位になる神経です。

通常は、この二つの神経系のバランスが保たれているのですが、脊髄を損傷するとバランスが崩れるのです。

具体的な症状としては、血圧の異常が出る場合があります。

低血圧になりますと、めまい等が起きます。高血圧となった場合も、放置すると場合によっては生命に危険が生じますので注意が必要です。

排尿障害とは

精髄損傷により、多くのケースで尿の排泄が困難となる排尿障害が起こります。

排尿障害には、二つあり、尿を膀胱にためることの障害と尿を排泄することの障害があります。脊髄損傷では、その両方の障害が起こります。

排尿障害は、それをきっかけとして腎臓の機能への影響も起こることがあるという点が注意を要します。

腎臓機能が損なわれると、透析が必要となってきます。したがって、早めの対応が重要となります。

通常は、膀胱に尿がたまるとそれが刺激となり尿意を感じて排泄を行っています。

それがうまくいかなくなった場合は、カテーテルでの導尿などにより、排泄を行います。また、抗コリン剤という薬の服薬も行われる場合があります。

腸管障害とは

脊髄損傷では、排便の障害も起こります。具体的には、下痢や便秘が起こります。

したがって、食事内容に注意し、場合により、薬や浣腸といった方法を利用し、排便を促すことになります。

脊髄損傷の診断基準は

脊髄損傷と診断されるためには、麻痺があることと、脊髄の損傷があることが必要になります。

まず、どのような経緯で受傷したかを問診を行った後に、局所の症状を見ていきます。ハンマーで叩いたりなどして確認していきます。

脊髄の損傷は、レントゲン写真やMRI等によって確認します。

後遺症からの回復は

脊髄損傷は、中枢神経が傷ついているために、完全な回復は非常に難しいと言われています。

リハビリの継続がとても大切

治療方法としては、神経が圧迫されているのであれば、圧迫しているものを取り除くための手術が行われる場合もあります。

それにより、症状が回復する場合もあります。

ただ、神経が損傷している場合は、リハビリによって現状を維持するという方法が主となります。

神経細胞の再生は、難しいことは事実なのですが、全く再生しないということではありません。

あきらめなければ、改善は見込める余地があるものなのです。

反対にあきらめてしまうと、状態は現状維持どころか悪化の一歩をたどることになります。

したがって、日常生活でのリハビリの習慣化が大切になってきます。

後遺症が残ったら

脊髄損傷により、後遺症が残ったら、適切な後遺障害等級認定を受けることを目指しましょう。

そのためには、交通事故問題に強い弁護士に相談なさることをおすすめいたします。