交通事故による後遺症にもいろいろありますが、顔面に傷が入り、傷あとが残った場合も後遺症ということができます。

もちろん傷が残るのは、体のどこであっても避けたいものですが、特に顔の場合は目立ちますので避けたいものですし、精神的なショックも大きいものです。

では、その精神的なショックに対する補償はどうなっているのでしょうか?

そこで今回は、顔に傷が入った場合の慰謝料について解説いたします。

外見に傷が残ることを外貌醜状といいます

外見に傷が残ることを、専門的には外貌醜状と呼んでいます。

外貌とは、頭や顔、首などいった人の目に触れる部分のうち手足以外の部位をさします。

そして醜状とは,人目につく程度以上の傷あとが残ることをいいます。

このような外貌醜状が残った場合、精神的な苦痛はもちろんのこと、場合によっては仕事にも支障が出ることが考えられます。

そこで、人目に触れる体の部位に、人目をひくほどの傷が残った場合は、これを後遺障害と認定して、後遺障害慰謝料や逸失利益が補償されることになります。

なお、慰謝料というのは、精神的な苦痛を受けたことに対する補償です。

逸失利益とは、後遺障害のために、それがなければ本来は手にすることができたはずの将来における利益をいいます。

では、顔に傷が入った場合、後遺障害慰謝料はいくらもらえるのでしょうか。この点について次に詳しく説明していきます。

外貌醜状が残ってしまった場合の損害額の算定

顔に傷が残ってしまった場合の後遺障害慰謝料や逸失利益は、どのようになるのでしょうか。

それは、後遺障害等級のどの後遺障害等級が認定されるかによって変わってきます。

外貌醜状の後遺障害は、残ってしまった醜状によって3つの等級が設けられています。

それぞれの裁判所基準は次のようになります。

なお、裁判所基準とは、裁判所であらそった場合に認められる慰謝料の相場を言います。

外貌醜状の後遺障害等級と後遺症慰謝料

後遺障害等級       後遺症慰謝料

7級12号            1000万円

9級16号            690万円

12級14号        290万円

ではどのような傷が残った場合に、どの等級に該当するかについて説明いたします。

外貌醜状で認定される後遺障害等級について

外貌醜状の後遺障害等級は、顔や頭部と言った日常的に露出する部分に人目につく程度以上の醜状が残った場合に認定されることがあります。

認定される等級については、残ってしまった傷の大きさなどによって区別されます。

基準は下記のとおりとなります。

外貌醜状の後遺障害等級と認定されるための要件

(いずれも「人目につく程度以上のもの」であることが必要です)

後遺障害等級       認定要件

7級12号           外貌に著しい醜状を残すもの

(1)頭部に残った手の平大(指の部分は含まない)以上の瘢痕または頭蓋骨の手の平大以上の欠損

(2)顔面部に残った鶏卵大以上の瘢痕または10円硬貨大以上の組織陥没

(3)頸部に残った手の平大以上の瘢痕

9級16号           外貌に相当程度の醜状を残すもの

(1)顔面部に残った長さ5センチメートル以上の線状痕

12級14号       外貌に醜状を残すもの

(1)頭部に残った鶏卵大以上の瘢痕または頭蓋骨の鶏卵大以上の欠損

(2)顔面部に残った10円硬貨以上の瘢痕または長さ3センチメートル以上の線状痕

(3)頸部に残った鶏卵大以上の瘢痕

上記のように、10円玉硬貨以上の大きさの傷や3センチ以上の傷が残った場合は、後遺障害として認定される可能性が高いと言うことがわかります。

万が一、首から上の部位に傷が残ってしまった場合は、今後のためも考えて、後遺障害等級認定を目指しましょう。

男女による違いはありますか?

外貌醜状について、男女の違いによって、等級の区別はありません。

つまり、同じ程度の傷であれば、女性であれ男性であれ、同じ等級に認定されると言うことになります。

男女とも同じ等級表が使われるということになります。

慰謝料だけでなく、逸失利益も請求できます

顔に傷が残ったとき、請求できる項目としては、まずは慰謝料が思い浮かびます。

保険会社も慰謝料の話はしても、逸失利益については、認められないと言ってくることがあります。

しかし、外貌醜状による逸失利益が認められた裁判例も存在します。

したがって、一律に外貌醜状による逸失利益は認められないとはいえませんので、こういった場合は、まずは弁護士に相談することが大切でしょう。

後遺障害等級認定に詳しい弁護士であれば、様々な要素を考慮して、保険会社に対する逸失利益の請求を考えてくれるでしょう。

また、裁判所も外貌醜状の場合は、労働能力が損なわれていない、または、少ししか損なわれていないと考える場合があります。

そういったときは、弁護士が法律的な観点から、労働能力が損なわれたことをしっかりと主張していく必要があります。

したがって、適切な後遺障害等級認定を受けて、きちんと慰謝料と逸失利益を受け取るためには、早めの弁護士への相談が不可欠といえるでしょう。