飲酒運転お酒を飲んでからは、絶対にハンドルを握ってはならないということは、ドライバーであればだれでも知っていることではありますが、いまだ飲酒運転による交通事故は後を絶ちません。

飲酒運転は、通常の交通事故よりも加害者の責任が大きいような感じがしますが、その罰則や慰謝料などはどうなっているのでしょうか?

飲酒運転による交通事故に対する罰則強化のターニングポイントとなった二つの大きな事件を知ることにより、飲酒運転での交通事故の補償や過失について押さえておきましょう。

ターニングポイントとなった二つの飲酒運転による交通事故

東名高速での飲酒運転による死亡事故

1999年11月28日に発生したこの事故は、トラックの運転手であった加害者が高速道路上で追突事故を起こし、被害車両に乗っていた家族連れの幼い姉妹を焼死させたという事故です。

加害者は、日頃より飲酒運転を繰り返し、飲酒運転の常習者であったということが判明しています。

また、被害者であった子どもたちは、当時3歳と1歳という年端もいかない年齢であり、燃えさかる車内に取り残され、意識があるまま焼死したという何ともむごい亡くなり方をしているのです。

さらに、なんとか救出された父親も大やけどを負うという被害の状況でした。

当時の法律では最高刑が懲役5年

悲惨な結果をもたらした事故であるにもにもかかわらず当時の法律では、刑法の業務上過失致死傷罪に問うことしかできませんでした。

業務上過失では、故意はないことになりますから、責任の度合いは軽く、法定刑は最高刑でも懲役5年でした。

結局、加害者には、飲酒運転の常習という重大な過失があり、悲惨な結果を生じさせたにも関わらず懲役4年の刑が言い渡されただけでした。加害者に対する刑事責任はここまでにとどまりました。

民事裁判では約2億5000万円が認められました

一方、民事裁判の方はと言いますと、被害者の両親は、加害者であるトラック運転手と、その勤務先の会社に対して約3億5000万円の損害賠償の請求を行いました。

その結果、約2億5000万円の損害賠償が認められました。

また、判決の中で裁判官は、加害者の飲酒運転行為を「未必の故意による傷害行為とさえ評価され得る」とのべ、厳しく批判しました。

危険運転致死傷罪の創設

被害者の両親が行った署名活動は、社会を大きく動かし、「危険運転致死傷罪」の成立のきっかけとなりました。

この刑が新設されたことにより、飲酒運転といった危険な運転が厳しく処断されることとになりました。

福岡海ノ中道での飲酒運転による死亡事故

2006年8月25日に発生したこの事故は、福岡市の職員であった加害者が、福岡県東区の海ノ中道大橋という橋の上で、家族5人が乗った乗用車に追突し、その衝撃で乗用車が海中に転落したため、幼い3人の子どもが水死したという事故です。

危険運転致死傷罪が適用されました

運転手は、公務員という法律順守の立場にありながら、飲酒運転という違法行為を行い、

追突した後、そのまま車の走行を続け救護義務違反を犯しました。

さらに、事故直後に大量の水を飲むという飲酒運転の隠ぺい行為を行っていました。

そのため、加害者に対して、新設されたばかりの危険運転致死傷罪が適用されるかどうかが注目されました。

結果として、危険運転致死傷罪と道路交通法違反を合わせて懲役20年の刑事罰となりました。

民事裁判でも高額の損害賠償が認められました

一方、民事の方では、被害者の両親は、約3億5000万円の損害賠償を求めて裁判を起こし和解が成立しました。

このように飲酒運転での交通事故は、加害者側は、高額な損害賠償を請求されることになることがわかります。

道路交通法が改正されました

この事件のポイントは、危険運転致死傷罪の適用を逃れるために、ひき逃げをしようとしたり、大量の水を飲んでアルコールの検知を逃れようとした点にあります。

このようなことを許せば、逃げ得を推進することになりかねませんから、2007年に道路交通法を改正し、飲酒運転とひき逃げへの罰則が強化されました。

この二つの事件から見えてくるもの

昭和の頃であれば、飲酒運転に対する世間の認識も今に比べると甘いものであり、ちょっと飲んだだけだから、といった風潮がありました。

けれど今はそのような認識は一変しました。

法律の面においても、飲酒運転といった危険な運転行為への処罰は厳しくなり、自動車運転死傷行為処罰法という独立した法律が制定されるまでになりました。

飲酒運転だった場合の補償への影響

加害者が飲酒運転だった場合は、そうでない場合と補償の面での違いが出てきます。具体的には、過失割合の認定の場面で、加害者の過失がより重く認定されます。

なお飲酒運転とは、体内にアルコールが残っている状態で運転する場合をいい、この場合は、道路交通法違反となりますが、その中でも処罰される場合は、酒気帯び運転と酒酔い運転に限られます。少しわかりにくいので注意が必要です。

酒気帯び運転だった場合

加害者が酒気帯び運転だった場合は、著しい過失があるとみなされて、加害者の過失割合が10パーセント程度加算されます。

つまりその分だけ、損害賠償の金額が上がることになります。

なお、酒気帯び運転とは、又は呼気1リットル中0.15ミmg以上又は、血中アルコール濃度が、1ミリリットル中0.3ミリグラムのアルコール量が検出された場合を言います。

酒酔い運転だった場合

酒酔い運転とは、アルコ-ルの影響により正常な運転ができないおそれがある状態で運転をした場合をいいます。

現場で、警察官が運転手を客観的にみて、ろれつが回っていなかったり、千鳥足になっていて足元がおぼつかなかったりしていると確認されれば、酒酔い運転と判断されます。

酒酔い運転の場合は、運転手の重過失となり、過失割合が20パーセントほど加重されます。

つまり、酒酔い運転も場合もさらに損害賠償が増額されることになります。

このように飲酒運転をして交通事故を起こした場合は、違法性が高いとして加害者の過失が重く認定されることになり、被害者の保護が図られています。

この傾向は、これからの主流となるでしょうから、飲酒運転で交通事故被害に遭った場合は、高額の賠償金が認定されるケースが増えてくると考えられます。

弁護士に依頼するメリット

飲酒運転の場合は、そうでない場合より、故意に危険な運転をしたとしてより大きな責任を問われるということがご理解いただけたと思います。

ただ、法律上は、飲酒運転であるから慰謝料の額はいくらと決まっているわけではなく、あくまで裁判所において慰謝料額を算定する際の事情の一つとして取り扱われることになります。

したがって、実際により高額の補償を勝ちとるためには、加害者の違法性を追及する戦略が必要になります。

そのためには、弁護士への相談が不可欠となるでしょう。

相手が飲酒運転だった場合において、きちんと補償をさせたいとお考えの場合は、まず一度、交通事故問題に強い弁護士への相談をおすすめいたします。

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