自転車は、私たちにとって身近な乗り物です。

健康志向の高まりや節約のために、交通手段を車から自転車に変える人も増えています。

そして、自転車ユーザーの増加とともに、当然のように、自転車による交通事故も増えています。

自転車に乗っていて歩行者とぶつかってしまい、歩行者にけがを負わせた場合、自転車に乗っていた人は、賠償をしなければなりません。

賠償というのは、民事上の責任を負うと言うことです。

さらに、民事上の責任だけでなく、人身事故として刑事上の責任も負うことになります。

加害車両が自動車ではなく、自転車であれば、賠償金額が低いと言うものではありません。

自転車にスピードが出ていて勢いよくぶつかられれば、歩行者は転倒してしまい、打ち所が悪ければ死亡事故にもつながりかねないのです。

自転車事故でも、数千万円の賠償事例が実際に出ています。

自転車事故だからといって軽く考えることはできません。

実際のデータをみてみましょう

実際のデータをみてみると、自転車事故は増加傾向にあるようです。

「自転車の交通事故の実態と自転車の交通ルールの徹底方策の現状」という警視庁発表の資料によると、交通事故における自転車事故の割合は年々増加し、現在では、全体の2割以上になっています。

さらに、自転車と歩行者の事故も急増しています。

自転車と歩行者の場合は、自転車側が加害者となりますので、それだけ賠償責任を負うことになった自転車ユーザーが増えていることを指し示しています。

自転車に関する道路交通法の改正点

自転車の交通ルールが平成25年12月に、道路交通法が改正され、自転車に適用されるルールも見直しが行われました。

見直し点について確認しておきましょう。

右側通行の禁止

路側帯における右側通行が禁止されました。

これは、自転車のも軽車両という車両の一つであるという原則が徹底されたものといえます。車両は、車道の左側を走るということは皆さんご存じだと思います。

自転車にもこれの適用が徹底されたと言うことです。

これに違反した場合は罰則も用意されており、3ヶ月以下の懲役又は5万円以下の罰金が科せられることになります。

整備不良自転車について

甚大な事故を引き起こす恐れがあるブレーキ不良自転車についても規制が設けられました。

警察官は、ブレーキ不良と思われる自転車を見つけた場合は、その場で、自転車を停止させてブレーキ検査をすることができるようになりました。

このようにして、大きな被害を未然に防ぐように法律が改正されました。

自転車に乗ること自体は、免許制度もありませんし、年齢制限もありませんが、自転車は一歩間違えば、歩行者にとり凶器になります。

また、車と比べて、脆弱な乗り物です。

したがって、自転車に乗ることにより、誰かをけがさせることも、自分自身がけがをすることも両方とも避けるためにも、自転車の交通ルールは知っておくようにしましょう。

自転車事故の慰謝料の相場

高額賠償となった事例

小学校高学年の男子児童が、自転車で通行中に、歩行者と正面衝突。

被害者は、頭部を骨折するといった重傷を負い、意識不明となりました。

この事案について、賠償額は、9500万円以上になりました。

小学生といった子供でもこのような高額な損害賠償を負ってしまった事案と言えます。

神戸地方裁判所、平成25年7月4日判決

自転車による事故と言えども、相手方が死亡したりや重篤な脳障害を負ってしまった場合は、高額な慰謝料が請求されることになります。

損害賠償の基本的な計算方法

交通事故の損害賠償額の計算式をみていきましょう。

損害賠償と言ったり、慰謝料と言ったりして、一般の方にはわかりにくいものです。

慰謝料というのは、交通事故による損害のうちの精神的な苦痛に対する補償の部分だけを言います。それを含めての損害賠償の計算式は、

(積極損害+消極損害+慰謝料) × 相手方の過失割合

(積極損害+消極損害+慰謝料)の部分が1000万円だったとして、相手方の過失割合が7割だったとすれば、1000万円の7割の700万円を損害賠償として受け取れるというわけです。

慰謝料については、先ほど軽く説明いたしましたので、次に積極損害と消極損害についても触れておきましょう。

積極損害とは

積極損害とは、交通事故に遭遇したことにより、支出を強いられた損害のことを言います。

例えば、治療費や入院や通院にかかる費用、交通費、葬儀代等がこれに当たります。

消極損害とは

消極損害とは、交通事故に遭わなければ、将来手にすることができたであろう利益のことを言います。

休業損害と逸失利益の二つになります。

例えば、交通事故により、仕事を休まざるを得なくなる場合が多々あります。

仕事を休んでしまえば、その間の仕事による収入が途絶えるわけですから損失といえます。これを休業損害として補償してもらうわけです。

逸失利益は、後遺障害と負った場合と亡くなった場合に考えなければならない損害です。

後遺障害を負ってしまうと、その分、稼働能力が失われますから収入が減ることになります。

これを、逸失利益として補償してもらうわけです。

同じように亡くなった場合も、もう働くことはできませんから、生きて働けていれば手にすることができたであろう利益を逸失利益として算定し補償してもらいます。

慰謝料

慰謝料とは、前述のように交通事故でけがを負ったことによる精神的苦痛に対する補償です。

自転車事故であっても、けがをすれば、自動車事故の場合と同じく慰謝料は発生します。

慰謝料には、いくつかあり、けがをしたときの入通院慰謝料、後遺障害を負った場合の慰謝料、亡くなった場合の死亡慰謝料があります。

入通院慰謝料であれば、1ヶ月あたり10万から30万円程度になります。

後遺障害慰謝料は、等級により変動します。一番低い等級である14級では、100万円程度です。

死亡慰謝料については、家庭内での経済的支柱という立場であるかどうかで慰謝料の金額が変わってきます。

大黒柱の場合は、3000万円程度、それに準じる立場であれば、2300万から2600万円程度となっています。

死亡慰謝料については、近親者に対しても固有の慰謝料が認められているのが特徴です。

自転車事故の過失割合

自転車事故であっても過失相殺は行われます。

過失相殺とは、被害者側にも過失があれば、その分を差し引いて損害賠償額が算定されるという仕組みです。

被害者にも落ち度があるのに、その分までも加害者に負担させるのは、公平とはいえませんから損害の公平な負担を目的として過失相殺が行われます。

自転車事故における刑事責任

自転車事故も交通事故の一つですから、人身事故を起こせば、刑事責任も発生します。

自転車の運転については、前述のように、免許も必要ありませんし、年齢制限もありません。

しかし、低年齢者でもスピードを出すことができる乗り物です。

したがって、思いがけず刑事責任を負う事態に巻き込まれがちな乗り物なのです。

その点は、自転車を与える保護者からの指導が重要となってくるでしょう。

自転車事故と賠償保険

ここまで読んでこられた方は、自転車事故の慰謝料は思いかけなく高額になると気づかれた方も多いと思います。

したがって、自転車に乗る際は、賠償保険に加入しておくのがとても大切になってきます。

そうしておかないと、時に数千万円に上る賠償金をどうやって払えばよいのか困る事態となってしまいます。

ほかにも、被害者の立場からは、自転車事故での被害が大きくて正当な補償をあいてから勝ち取りたいと考える場合は、ぜひ一度、交通事故問題に強い弁護士に相談することをおすすめいたします。

きっと力になってくれるでしょう。