玉突き事故とは、追突された勢いで前の車に次々とぶつかってしまう、複数台での自動車事故をいいます。

特に、スピードを出して走っている高速道路で起きやすい交通事故です。 こういった玉突き事故の場合は、過失割合はどうなるのでしょうか?

1対1の事故ではないので、事案が複雑で解決が難しそうです。そこで今回は、玉突き事故の場合の過失割合について解説いたします。

玉突き事故の過失割合は追突事故を基準にします

玉突き事故の内容を分析してみると、追突事故ということがわかります。最後尾の車が、前の車に追突したという事故です。そのため、原則として追突事故の基準が適用されます。

追突事故の場合、その過失割合は、被害者と加害者で100対0となっています。

つまり、追突した側がすべての責任を負うことになります。追突事故の場合は、基本的には追突された方には過失がなく、追突した方が、前方をよく見ていなかったか、十分な車間距離をとっていなかったかによって起こるものだからです。

2台での単純な追突事故であっても、3台以上の車が絡む玉突き事故であっても、追突したのは、最後尾の1台ですからその1台が、他の被害車両に対してすべての損害賠償の責任を負うことになります。

つまり、A、B、Cの3台があったとして、Cが最後尾で追突した車であるとするならば、その過失割合は、0:0:100となります。

原則はこのようになっていますが、場合によっては原則に対して修正が加えられることがあります。では次に、原則に修正が加えられる様々なケースを見ていきましょう。

前方の車両の急ブレーキが原因での玉突き事故

ABCの3台の車が絡む追突事故で、何らかの理由により、A車が急ブレーキを踏んだために、後続のB車から追突され、その勢いでA車の前方に停まっていたC車に追突したという場合を想定してみましょう。

この場合は、急ブレーキを踏んだAにも過失が認められます。

法律にも「車両等の運転者は、危険を防止するためやむを得ない場合を除き、その車両を急に停止させ、又はその速度を急激に減ずることとなるような急ブレーキをかけてはならない」となっております。

したがって、急ブレーキをかけるのは、危険を防止するためにやむを得ない場合に限られています。

これに該当しない理由のない急ブレーキにより、追突事故を引き起こしたのであれば、追突された側、つまりAも過失を問われます。そうした場合の基本的な過失割合は、Aが30%、Bが70%となります。

したがって、3台の過失割合は、C:A:B=0:30:70となります。これが基本ですから、Aの急ブレーキが法令違反とまで言えない程度の理由があるものであれば、30%の過失割合が減らされることがあります。

反対に、後続車への故意や嫌がらせの意図をもって、急ブレーキをかけたのであれば、過失割合は増えることになります。もしくは、Bの過失がないことになる場合もあります。

もっとも、Bの立場であれば、Aが急ブレーキを踏まなければ追突しなかったのに、こちらが過失を問われるのは納得がいかないと感じられるかもしれません。

ただ、そうであっても、追突事故は後続車が十分な車間距離をとっていれば回避可能であると言えますから、それは仕方がないのです。

いずれにせよ、追突事故であっても追突された側にも過失があると認められれば、過失割合は、100対0から修正されるというわけです。

高速道路上での停車中の車に対しての玉突き事故

駐停車中の車に対しての追突事故の場合、過失割合は、原則として100対0となります。つまり、追突した車に全過失があることになります。但し、高速道路の場合は、事情が違ってきます。

玉突き事故は、高速道路で起こることが多いのですが、高速道路上での駐停車は、禁止されています。

禁止されていることを行って追突された場合は、被害者にも過失があることになります。

但し、高速道路は、高速で走ることができる半面、渋滞しやすい場所であることも事実です。渋滞でのろのろと減速運転をせざるを得なかったり、停車していたりした場合は、停車している側に落ち度はないと言えるでしょう。こういった場合は、追突した車が全過失を負うことになります。

もっとも、夜間の場合で、駐停車中の車が非常点滅灯などを付けずに停まっていた場合は、追突された側にも落ち度があるとして、過失割合が、100対0から90対10ないしは80対20に変更されることがあります。

この場合、追突された車をA、追突した車をB、Aが追突した車をCとするならば、3者間の過失割合は、A:B:C=10:90:0となります。

過失割合を決めるものは?

過失割合を実際に決めていく証拠としては、警察が作成する実況見分調書などが主になってきます。しかし、そのもとになるのは、事故当時の正確な状況です。

不正確な実況見分調書が作られることがないように、御ご自身の記憶があいまいにならないように、メモをすることを心がけ魔性。

また、目撃者がいれば証言してもらえるように協力を頼みましょう。もちろん、納得がいかない実況見分調書には署名をしないようにしましょう。

玉突き事故の保険請求について

玉突き事故であっても損害賠償については、示談交渉で行われます。

ただ、当事者が通常の2台の車の間での交通事故の場合よりも多いことになりますので、示談交渉を行う保険会社の担当者もその分増えることになります。

また、こういった場合、それぞれが自分に有利な事情を主張してきますので、過失割合についてもすんなりと決まらずにもめることが多いでしょう。

したがって、玉突き事故に遭遇した場合は、追突した側であれ追突された側であれ、どういった立場であってもまずは、交通事故問題に詳しい弁護士に相談なさることが大切となってくるでしょう。

実は、弁護士にもそれぞれ得意分野がありますし、玉突き事故は、交通事故の中でも複雑な事案と言えます。

そのため、玉突き事故の過失割合認定並びに示談交渉を有利に行うには、交通事故問題に詳しい弁護士を見つけることが重要となってきます。

玉突き事故の損害賠償請求でお悩みの場合は、ぜひ一度、交通事故に強い弁護士に相談なさることをおすすめいたします。